はじめに
こんにちは、Androidエンジニアの冨田です。
2026年7月23日(木)に、Omiaiさんとの合同オンラインイベント「AIで変わった開発速度のウラ側。大規模toCアプリの週1リリースプロセス」を開催しました。
どちらもユーザー数の多いtoCモバイルアプリで、それなりの歴史があります。技術スタックはまったく違う2社が、AI活用でいまどこにいるのかを並べてみたら、ぶつかっている壁がきれいに重なりました。そんな当日の様子をレポートします。
イベントページはこちらです。
イベント概要
「週1リリース」を実現するにあたって、AI活用と開発プロセスがどう変わったのかを、asken・Omiaiそれぞれの実践からお話しするイベントです。当日は39名の方にご参加いただきました。
| 時間 | 内容 | 登壇者 |
|---|---|---|
| 19:00-19:05 | オープニング | 伊藤(Omiai) |
| 19:05-19:17 | ショートセッション① | 入江 弘紀(asken) |
| 19:17-19:30 | ショートセッション② | 大森 翔太朗(Omiai) |
| 19:30-20:00 | トークセッション「AIで変わった開発速度のウラ側。」 | 入江さん・大森さん・伊藤さん |

ショートセッション①:入江さん「大規模マイグレーションからみえたAI開発の有用性と課題」

法人事業部でテックリードを務める入江さんから、AIを活用した大規模マイグレーションの事例について発表しました。人間はコードをほぼ見ず、トークンを燃やして作業をスケールさせる進め方で、半年以上かかると見込まれていた移行を1ヶ月で完了しました。Slackに「燃やせトークン」というスタンプが生えるほどのお祭りモードで、他チームのメンバーまで巻き込んで一気に進めたそうです。
詳細は後日テックブログとして投稿予定です!
ショートセッション②:大森さん「暴走・トークン消費・属人化 ― AI開発の"3つの壁"をレイヤー別スキルで越える」

Omiaiの大森さんからは、Claude Codeを開発組織に定着させる中で直面した「暴走」「トークン消費」「属人化」という3つの壁と、その解決策についての発表でした。階層アーキテクチャのレイヤーごとに規約と仕様書のフォーマットを整え、レイヤー別の実装スキルを用意することで、3つの壁をまとめて越えていくアプローチです。
結果として、API1本の開発が3日から1日へと約3分の1に短縮され、リリースする施策も倍以上に増えているとのことでした。
こちらOmiaiさんのテックブログにて詳細が記載されていますので、ぜひこちらのチェックもお願いいたします。
トークセッション「AIで変わった開発速度のウラ側。」
両社ともAIで開発スピードは大きく上がりました。では、速くなった先で何が起きたのか。後半はOmiaiの伊藤さんにモデレーターを務めていただき、両社のリアルな現状を掘り下げました。ここでは、タイトルにもした「次の壁」の話を紹介します。
週1リリースを実現する上で、ボトルネックはどこにありましたか?
入江さんが挙げたのは、テストでした。askenのモバイルはKMP(Kotlin Multiplatform)でAndroidとiOSのロジックを共通化し、アーキテクチャの構造から共通化した上でAIを活用することで、実装のスピードを上げてきました。
実装部分のボトルネックが解消されたら、今度はテストの部分にボトルネックが移ってきておりまして。今のあすけんのアプリだと、結構人で頑張っている作業が多くて、そこをどうするかというのが今後の課題かなと思っております
いまはMaestroでE2Eテストの自動化に取り組んでいる最中とのことでした。
大森さんからも、同じ課題感が返ってきました。
テストは確かにボトルネックにはなってきて、同じようにツールはMagic Podですけども、それで何とか自動化できないかなというところで取り組みをやってもらった
壁の位置も、次の一手も同じでした。さらに「モバイルは実機で動かさないと分からない部分が多く、AI時代でもここは難しい」という点でも一致していました。
まとめ
両社の話を並べると、こうなります。
| asken | Omiai | |
|---|---|---|
| スピードの成果 | マイグレーション作業が半年以上 → 1ヶ月 | API開発が3日 → 1日 |
| 次にぶつかった壁 | テスト | テスト |
| いま取り組んでいること | Maestro でE2Eテストの自動化 | Magic Pod で自動化を検討 |
技術スタックも規模も違うのに、通る順番は同じでした。
これはAIの得意・不得意を考えると納得できます。コードを書くことはAIが得意で、実装は真っ先に速くなります。一方でテストは、実機で動かしたり本番相当のデータ量で確かめたりしないと分からないことが多く、両社ともここは「まだ人が頑張っている」と口を揃えていました。
つまりボトルネックが消えたのではなく、AIが得意な工程から苦手な工程へ移動しただけでした。
そして、テストの自動化は、品質のためだけの投資ではありません。トークセッションの最後に入江さんが展望として挙げていた「PRDを渡すだけで機能ができあがる」ようなワークフローを実現するには、AI自身が結果を検証しながら回せる状態が必要です。テストの拡充は、AIに任せられる範囲を広げるための前提条件でもあるのだと思います。
事前に打ち合わせをしていたわけではないので、聞いていて思わず驚きましたが、同時に納得感のある瞬間でもありました。
おわりに
テストがボトルネックになっていることは、社内でも課題として認識していました。そこにまったく違うスタックの会社が同じ場所で立ち止まっていると分かって、これは順番として通るものなのだと整理できました。
壁に対して、MaestroとMagic Podで別々の手段を用いて立ち向かっていました。同じ壁の前に立っている会社が、それをどう越えようとしているのか。その場で比較しながら聞けるのが合同イベントの良さだと思います。
冨田個人としては運営として関わりつつも、この勉強会を聞いていてE2Eテストの重要性を改めて再認識しました。askenで取り組んでいるMaestroの対応を優先度高めつつも、ボトルネックの移り先に目を向けるため、改めて全体の開発プロセスを整理し始めました。
Omiaiさん、今回はありがとうございました!
askenは今後もいろいろな会社さんと合同イベントを開催していきます。お互いの打ち手を見せ合って高め合っていけたらと思っていますので、connpassやXの告知をぜひチェックしてみてください。
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