asken テックブログ

askenエンジニアが日々どんなことに取り組み、どんな「学び」を得ているか、よもやま話も織り交ぜつつ綴っていきます。 皆さまにも一緒に学びを楽しんでいただけたら幸いです!

asken PdM(プロダクトマネージャー)座談会 PdMが語る開発現場のリアルな課題

はじめに

あすけんエンジニアの座談会シリーズの番外編としてPdM(プロダクトマネージャー)座談会を開催しました。 日頃、あすけんアプリ開発をしているPdM3名 + 進行役を加えた4名による座談会になります。

自己紹介と各担当

名前: 伊藤
役職: PdM
入社5年目
中長期計画や方針の作成 PdMとUXデザイナーのチームのマネジメントを担当

名前: 大倉
役職: PdM
入社5年目
最初の3年は海外事業でバックエンドエンジニアを担当
国内事業(あすけんアプリ)に移動後に
PdMにジョブチェンジし、PdM2年目です。
KPIに基づいて短期的な開発の進行や仮説検証を担当

名前: 小山
役職: PdM
入社2年目
KPIに基づいて短期的なの開発の進行や仮説検証を担当

組織と体制

司会:
PdM3人の役割分担はどうなってますか?

小山:
伊藤さんがプロダクトの中長期プランに応じて、各PdMが担当する領域や方針を決めます。 それに基づいて僕と大倉さんがリサーチ活動して、 どういうペインに着目するかをクリアにし、PRD(プロダクト要求仕様書)を作成します。基本的にデリバリーチームに任せますが、私たちは提案された機能がどうあるべきかという品質面をチェックし、担保していきます。また、効果検証を行い、次のPRDにつなげていくのが私たちの役割です。 伊藤さんは最初に方針を決めるだけでなく、私たちがそれぞれ作成するものを俯瞰的に見て、プロダクト全体として問題がないかをチェックする役割も担っています。

複数のプロダクトマネージャーの課題と進化

司会:
2023年の4月以前は伊藤さん1人のPdM体制でしたが 2023年の4月から複数のPdM体制にチーム体制が移行したと思うのですが実際やってみてどうですか?

小山:
2023年度上期は伊藤さんがリードで、僕と大倉さんがそれぞれのチームで施策を進める体制でした。2023年度下期になると、伊藤さんが中長期的なプロダクト開発のリサーチに入り、僕と大倉さんが与えられたテーマのもと、PdMとして一人立ちで運営していく形になりました。

2023年度上期は、僕も大倉さんもPdMとしてのスタートで、まずはPdMの立ち回りを学ぶことに集中できました。伊藤さんは自身の経験を活かして私たちを指導する立場でした。

2023年度下期になると、伊藤さんが直接的な指導から離れ、私たち自身で指針を決めていくことになりました。これは良い経験でしたが、同時にかなりの難しさもありました。どの範囲で施策を考えるべきか、何を優先すべきかなど、無意識のうちに「やってはいけないこと」を考えてしまい、進捗が滞ることもありました。

実は、これまで気づかなかったのですが、伊藤さんがPdMとして意思決定する際、様々なステークホルダーとコミュニケーションを取りながら「やるべきこと」を考えていたことを学びました。これが昨年度の仕事を通じて得た大きな学びだったと思います。

司会:
現状はどうですか?課題は解消されましたか?

大倉:
昨年抱えていた課題感と今年の課題感は全く異なる気がします。昨年末、僕と小山さんが持っていた課題は、KPIをどう捉え、それにどうアプローチするかというところでした。しかし今は、その方針を整理した後の段階にあります。「こういう手順で進めよう」となった時に、本当にそれで良いのか、関連する情報は正確なのか、必要な情報は何なのかといった、より深い議論が多くなっています。

伊藤:
ステップアップしている感はありますね。

やはり、仲間が増えて同時に取り組めることが増えた時に、我々はどのようなステップで目標に向かうのかというロードマップを作成することが重要になります。また、誰がどのようなKPIを担当するのかという設計も必要だという課題感がありました。そこで、昨年の下半期にプロジェクトとして取り組み、今年度からそれを適用し始めているという状況です。

ユーザーフィードバックと改善プロセス

司会:
あすけんアプリ開発の中でユーザーフィードバックと改善プロセスはどのようなことをやってますか?

伊藤:
ユーザーインタビューを実施しています。また、機能をリリースした後は、アプリ内のマイクロサーベイ機能を使って定量的なデータを収集しています。定期的な調査も行っています。Firebaseのイベント情報などは、ダッシュボードに集約されており、簡単に確認できるようになっています。そして、月に1回のペースで顧客満足度調査を継続的に実施しています。

小山:
ユーザーから機能要望の収集をしています。施策のヒントにしたりしています。

施策を作る上で ユーザーからどう見えるかということは非常に重要視されていると思います。できるだけユーザーにどう感じてもらえるか、どう見えるのかをしっかりと見極めながら、それを起点にしたり判断材料にしながら、作るものを考えていったりアップデートしていくことが活動の中心になっています。

伊藤:
新機能を出した後、エゴサーチしますよね。

小山:
一喜一憂してますよね。「価値が届いた」と思ったら、「あ、そう受け取られるのか。うまく伝わっていないんだ」とユーザーの声を見て気づくこともありますね。

伊藤:
最近、印象的だったのはオフラインイベントでユーザーさんから生の声を聞く機会があり、すごく刺激を受けました。 直接ユーザーの声を聞くことで、より深く価値に向き合わなければいけないと実感しました。

PdMとデザイナーの連携

司会:
アプリ改善施策を進めていく上でデザイナーとのやりとりが発生すると思うのですがどういう感じで進めてますか?

伊藤:
開発チームの体制について説明します。現在、「ディスカバリーチーム」と「デリバリーチーム」が存在しています。ディスカバリーチームには、私達PdMとUXデザイナーが所属しており、主に新しいアイデアの検討や企画、リサーチを行っています。

一方で、PdMとUXデザイナーは、二つのデリバリーチームにも所属しています。デリバリーチームにはエンジニアが加わり、実際にプロダクトの開発を担当し、お客様に価値を届けることを目指しています。

また、デザイナーとPdMの連携という観点では、ディスカバリーチームでは、PdMとUXデザイナーが一対一のペアとして、企画やリサーチを進めています。このペアで緊密に協力しながら、連携を取って業務を進めているのが現状です。

司会:
実際にデザイナーさんとのやりとりをしてみてどうですか?

大倉:
全てを一緒にプロセスまで含めて理解して一緒に作業を進めていますね。

小山:
PdMのチーム、デザインチームみたいな感じで分かれてなくて、 ワンチームでそれぞれのロールがあってっていう形で進めていますね。リサーチ段階から一緒にやっていますね。 今年はチームにデザイナーがいますが去年は僕のチームはデザイナーがいない状態だったのでデザイナーに依頼をする形でした。

受発注のような関係性があり、自分のチームである程度体験設計や作りたいものを固めてから、「このようなデザインをお願いしたい」とデザイナーに依頼していました。振り返ってみると、今期の前半もその傾向が強かったと感じます。

しかし、伊藤さんと話す中で、「UIも含むユーザー体験の設計やデザイン全般を、デザイナーが主体的に進める体制にしていった方がいいのではないか?」という考えが出てきました。そこで、作りたい体験の本質だけをデザイナーと共有し、詳細なデザインはお任せするように変えました。これは、今期の後半から特に進めるようになったアプローチです。

この方法に切り替えてから、ユーザーの視点に立った「こうした方が良い体験になる」「この表現がより適切」といった提案が増えました。以前のように私がワイヤーを書いてそれをデザイナーに渡すやり方では得られなかったデザインが生まれてきたと思います。 信頼してPdMがやりすぎないのが大事だと思います。

伊藤:
以前はワイヤーフレームを自分たちで書くなど、UXデザイナーと一緒に進める部分が多かったです。ただ、良い意味でそのあたりは徐々にUXデザイナーに任せるようになりました。

PdMとしては、ワイヤーフレームがユーザー体験としてどうか、またビジネス的にどうかといった観点から考える役割を担うべきだと思います。逆に、ビジネス上の意図をどのようにユーザー体験に落とし込むかを考えることも重要です。

そのような視点を持ちながら、UXデザイナーに任せる部分はしっかり任せ、自分たちはビジネス・UX・技術、3つの観点で総合的に判断する責任を持つ。そういう役割分担をしていくのが良いのではないかと感じています。

司会:
デザイナーとの連携を通じて気づきや学びなどはありますか?

伊藤:
UXデザインに長けているデザイナーがチームにジョインしたことで、ユーザーストーリーマッピングを使って、情報をまとめるのが大事だという気づきがありました。 「どういう人をどういう状態にしたいのか」を俯瞰して考えることの大事さを学びました。

小山:
施策で狙った価値を出せるかを確信を持っていくのもそうですが一緒に作っていく メンバーで納得感を持ってもらうためにフレームワークを使ったやり方は大事だと学びました。

PdMとエンジニアとの連携

司会:
エンジニアとの連携はどうですか?

伊藤:
スプリントレビューやスプリントプランニング、リファインメントでコミュニケーションを取ります。*1

普通にミーティングがなくても、Gather*2とかで気軽にコミュニケーション取ってますね。

司会:
askenならではのこととかはありますか?

小山:
本当に言われたものを作るじゃなくて、 僕らが提示したものから、 本当に価値あるものを作るためにどういう仕様であるべきなのか、 ユーザーがこの機能を使って価値を得るときに障害にならないように、 どういう仕様であるべきなのか、 品質を担保するためにどこまでやるべきなのかっていうのを本当に同じ目線で考えてくれてるなと思っていますね。 デザイナーの話と一緒かもしれないですけど、 本当に一緒にやって、信頼して僕らから任せてもらってる領域が大きいのかなと思います。

伊藤:
チーム全体でプロダクトを作る際に、PdMが提示したPRDについて、「この部分は何のためにやるのですか?」といった疑問を、みんなでフラットに議論できる環境が整っていると思いますね。

大倉:
PRDとワイヤーフレームの作成はPdMとUXデザイナーが行い、画面遷移や動作の詳細を詰めたり、スコープを調整して価値を最短で検証する方法を一緒に考えてます。画面設計はエンジニアが担当し、効果検証までの作業もエンジニアが進めます。各担当は分かれているものの、クロスファンクショナルチームとして協力して進めている印象です。

司会:
エンジニアとのコミュニケーションで大事にしていることはありますか?

伊藤:
「何のためにこれを作るのか」みたいなことは絶対にPdMから共有するようにしています。 議論できる環境も整えています。

小山:
施策の背景が共有されて、それに対して、議論する場がありますね。 こう作ってくださいっていうのを決め切らない。 どう作るか提案してもらったり、 一緒に考えるっていうところをやっています。

大倉:
決まったものを持っていかないっていう工夫はしていますね。 みんなで一緒に叩くことでよりよい仕事ができていると思います。

司会:
エンジニアとの連携を通じて気づきや学びなどはありますか?

小山:
チームにQAエンジニアが加わったとき、品質を徹底してエラーを防ぐ役割だと思っていましたが、実際には「優先度を考え、すぐに対応しなくても良いケースを見極める」という提案をしてくれて驚きました。私もエラーゼロを目指す意識が強かったのですが、QAエンジニアの提案で必ずしもそうではないということを教えてもらいました。

伊藤:
スクラムの経験があるエンジニアさんが結構増えて、 今年度から一週間ごとにプロダクトがインクリメントしていて、 それを見ながら価値があるかどうかってレビューしていく進め方みたいなのがめちゃめちゃいいなと思っています。

あすけんの今後の展開とメッセージ

司会:
今後の展開はどうなりますか?

伊藤:
食事っていろんな状況、 いろんな属性の人がすべからくやるものであって、 今ダイエットで使ってくれてる人多いですけど、 他のニーズっていうのも色々あると思います。そのために、 筋肉をつけたい人向けのコースがあったり、 妊婦さん向けのコースがあったりとかもありますけども、 カバー範囲を広げていくっていうところもやっていきたいですね。 ただ、 記録できるだけじゃなくて、 ちゃんと食生活が良くなっていくっていうところが あすけんの良さです。 人の気持ちに寄り添うとか、 そういうところを生かして、 実現していきたいなと思っています。

司会:
最後に、どんな人と一緒に働きたいかを教えてください。

小山:
僕はaskenはフラットな組織だと思っています。 自分事化して、自分の領域を超えてっていうところに向き合って提案とかしてくれるような人と一緒に働きたいなと思いますね。

伊藤:
アプリを使ってみていただいて、 なんとなくaskenっぽさみたいなのを感じ取ってもらって、 それがすごく共感できるっていう方がいらっしゃったら、一緒に働きたいですね。

大倉:
何か問題があった時に、 自分が思ったやり方をやりたいっていうんじゃなくて、 ちゃんと対話を通してみんなで納得してみんなでいい方向に向かえるマインドを持っている人と一緒に働きたいですね。

司会:
座談会ありがとうございました!

おまけ

リモートでの座談会の雰囲気はこちらです〜

www.asken.inc

*1:デリバリーチームではスクラム開発を採用しています。

*2:バーチャルオフィスツール https://ja.gather.town/